日本文化大学では茶道が学べます。しかし良く耳にするものの茶道とは一体どういうものなのでしょうか。
■茶道とは日本文化の総合芸術である
日本文化大学で学べる茶道は、抹茶を人々と味わうという行為にいろいろな考え方がブレンドされて発展してきた芸のことです。つまり茶室や庭などといった建物に関する空間的な考え方、茶道具を選び、観て楽しむ工芸の考え方、それから茶事、つまりお茶会に出される会席料理を楽しむ料理の考え方が混ざり合って、完成されたものなのです。さらには一期一会の精神である、ゲストをもてなし、楽しませる点前(てまえ)という作法についての考え方が混ざり合った、総合芸術であると言えるでしょう。そうしたことを日本文化大学は重視し、教育に取り入れています。
■わび・さびの精神とは一体何か
日本文化大学で学べる茶道は、中国から伝わった仏教の一つである、座禅修行によって悟りを目指す禅宗の考え方に影響を受けました。わびしい、さびしいという満ち足りない精神状態を積極的に受け入れ、逃げず、まっすぐに見つめることで慎み深い気持ちになれるという精神です。静かな茶室で、茶を点てることに意識を向け、雑念を捨てることで、心を落ち着かせることができるのです。そして座禅でも言われる瞑想状態で、頭に自然に浮かんでくる観念を見つめ、精神を高めます。これを観照と言います。雑念をしずめ、今現在の瞬間に集中させるのです。日本文化大学では、こうした精神の体得を目指します。
■禅宗の影響を受けた茶道
日本文化大学で学べる茶道の考え方は、もともと唐の時代だった中国(618~907)に伝来してきました。日本は鎌倉時代で、禅宗の精神の広まりにつれて、茶道も流行しました。華やかな室町時代の東山文化を代表するものとして茶の湯の考え方が完成し、その後、安土桃山の時代になると、千利休が現れました。千利休が完成させたわび茶という方法論は、代々受け継がれ、現在まで続いています。注目したいのは、21世紀に入って、そうした伝統が海外からも注目を集めているということ。グローバル化が進む中で、むしろ日本は海外の猿真似をするのではなく、古来から受け継いできたオリジナルな文化を武器に世界と闘っていく必要があります。日本文化大学で茶道を学ぶ意味合いも、そういう点でより重要になってきています。
■点前のプロセスと一連の流れの説明
お茶を点てる流れ、方法の手順が点前(てまえ)と言います。まずはじめに、茶碗に抹茶を入れます。そこに釜で温めたお湯を注いでいき、竹でできた茶せんという道具を使用して、しっかりと泡立てます。茶碗を受け取った人は、左手の手の平に乗せて、茶碗の正面が自分に向かないように右手でゆっくりと回してから、口に運びます。飲んだ後の所作も決まっています。日本文化大学で学べば、自分でお茶を点てることができるようになるだけではありません。日本の礼節に適った礼儀作法が身に付くばかりではなく、日本の芸術的な鑑賞力や、お客さんとのコミュニケーション能力も身に付きます。