日本文化大学は警察官や公務員の就職に強みがあるとして知られている単科大学です。多くの生徒が警察官や公務員を志望するこの大学では、そうした学生の希望する進路を具体化させていくための取組が1年生から継続的に行われています。日本文化大学では警察官などを含めた公務員試験合格に重点を置いた講座がいくつか用意されながらカリキュラムが展開されています。
こうした試みは2011年に行われた大学設置基準の改正の目的を実現する試みとして注目されているのです。この改正では大学側は、学生の生涯を通じ持続的な就業力育成を目指すということが謳われました。そして、大学の教育課程だけでなく、それ以外の時間などを通じて学生の社会的で職業的な自立に向けた指導に取り組むということが明記されたのです。この就業力育成は大学の教育においてたいへん重要な課題とされています。そのような中で、地域人材の育成や地域経済活性化などを同時に測ることができる学生の就業力を育成する取り組みは大きな注目を集めているのです。
1978年に創学された日本文化大学は法学部のみの単科大学で、学年の定員も200人といった小規模な大学ですが、近年の警察官就職率がたいへん高く、特色のある大学教育を提供する大学として様々人々から注目を集めているのです。
日本文化大学では1年時からキャリアマネジメントという科目が始まります。この科目は学年が進むにつれて段階的に公務員試験の出題にフィットした学習内容を提供しています。警察官になるための試験では基礎的な人文系の内容をはじめ、社会科学的な内容まで、出題範囲がとても広いといわれています。そうした幅広い範囲に対応するために、日本文化大学では1年生で基礎力を、2年生では教養力と応用力を、3年生で実践力を身につけるといったように系統的に講座が展開され、選択科目ながらも7割以上の学生が受講している重要な科目になっているといわれます。
3年時にはキャリアマネジメントと並んで試験演習なども選択できるようになります。日本文化大学の授業では、学生は警察官・消防官か、地方公務員かの2グループになって過去に出題された問題を解いたり、ディスカッションなどを行うのです。こうした公務員試験対策は、一般的にはダブルスクールといわれ、他の専門スクールなどに通うことで行う大学が多いといわれますが、日本文化大学ではこうした学習がカリキュラムの中に位置づけられており、授業の中で取り組むようになっているためその必要がないのです。そのため、時間的・経費的な学生の負担が軽減されているといわれています。
ただ、日本文化大学では警察官試験対策に特化するということではなく、警察官を志望する学生を一人でも多く合格させたいといった視点から一致団結してこうした就職支援のための学習を系統だって進めてきたということなのです。単科制大学として教員や大学スタッフたちがまとまってチームとして取り組みを進めていけたことがこうした高い合格率につながっているということなのです。